大学職員はどんな仕事をしているのか〜大学のステークホルダーとは〜
こんばんは、星野マリエです。
本日から数回に分けて、「大学職員の仕事」について焦点を当てて、記事を書いていきたいと思います。感想、質問、ご意見等ぜひコメントくださいませ。
では、早速ですが「大学職員の仕事」って一体どんなものがあるのでしょうか?
部活動の手続きをする仕事でしょ?
履修する科目を間違えた時に、対応してもらったなあ。
奨学金のお知らせをしたり、手続きをしたりする仕事もあるよね。
などなど、多くの方がパッと思いつくのは「学生の対応をすること」なのではないでしょうか。
事実、以前NHKの『人生デザインU_29』という番組で大学職員を取り上げていた時は、「学生課に勤め、学生たちのあらゆる相談にのる仕事」として、とある職員さんを密着取材していました。やはり世間一般のイメージでは、「学生対応=大学職員」という印象が強いのが現状なのではないかと思います。
しかし、大学での仕事は実は思っている以上に多くの業務があります。もしかしたら大学職員という職業は、他のどの職業よりも多様な能力を持った人材を必要とするのかもしれません。(だから、大学職員の採用試験受験を考えている方は、安易に「学生の相談に乗りたい」「学生をサポートしたい」という理由で目指さない方が良いと思います。大学職員は多くの場合、総合職として採用されますので、学生課に必ずしも配属されるとは限らないし、その後のキャリアの中で学生課に必ずいけるという確証もないからです。)
では、具体的に大学職員はどのような仕事に取り組んでいるのでしょうか。
仕事内容について詳細を見ていく前に、ここで「大学のステークホルダーとは一体誰なのか」についてまずは考えてみたいと思います。なぜなら、大学組織の各部署はステークホルダーごとに分かれていることが多く、ステークホルダーを見ていくことで、大学職員の仕事が分かりやすくなるからです。(一般企業もステークホルダーごとに部署が分かれているのかもしれませんが、私は一般企業に勤めたことがないため、間違ったことを書かないためにも、ここでは一般企業の組織の様相については触れません。)
◼︎大学のステークホルダー
- 高校生・高校生の保護者
- 高等学校
- 学生
- 学生の保護者
- 卒業生
- 企業
- マスメディア
- 政府・文部科学省・行政機関
- 教員
- 職員
- 寄付者
- 地域住民
- 市民社会・国際社会
教育学術新聞の平成18年8月の記事では、新日本監査法人 公認会計士 植草茂樹氏が下記のように大学のステークホルダーを書いています。
「《大学を取り巻くステークホルダーとその課題》
社会的責任を考える際にはまず、自大学のステークホルダーとその関係性を確認し、各ステークホルダーからの影響と大学が与える影響を整理することが必要である。
次に、ステークホルダーからの期待や要請を分類し、自大学の経営方針や戦略を踏まえ、どの課題を優先的に取組むべきかの優先順位づけを行う。優先順位づけにおいては、自大学独自の取組みが社会課題の解決に貢献・寄与できるものを優先させることも考えられる。
大学におけるステークホルダーには、学生・保護者・卒業生・教員・職員・企業・寄付者・マスメディア・格付機関・地域住民・市民社会・国際社会・政府・私学事業団・高等学校などが考えられる。また大学は未来創造の先導的役割を果たす役割があり、将来の世代も視野に入れる必要がある。」
上記の大学のステークホルダーは、この植草茂樹氏の論述を、大学入学〜卒業までの流れに沿って関係者をまとめ直したものです。
それにしても、大学のステークホルダーは多いですね。
あの日本の有名な大企業、トヨタは「お客様/従業員/取引先/地域社会・グローバル社会/株主」をステークホルダーとして自社サイトに掲載していますが、トヨタのステークホルダーを見ると「大学」の関係先は非常に多いことを少し感じ取って頂けるかと思います。
大学は10を超えるステークホルダーを有し、それぞれのステークホルダーに結びついた仕事を行なっています。大学職員の業務は世の中でよく保たれるイメージよりもはるかに多様であり、それぞれの業務において求められる知識も少しずつ変わってくるのです。「学生のために」「学生をサポートしたい」ということも確かに大学職員を目指す上で必要な志望動機なのですが、それだけでは実は足りないのかもしれません。
本日はここまでにして、次回はいよいよ具体的に「一般的な大学の部署の様相とそこで行われている仕事」について見ていきたいと思います。
ここまでお読みくださってありがとうございました:)
星野マリエ
<参考文献等>
1.特定非営利活動法人 学校経理研究会編(2015)『速解 大学教職員の基礎知識』
山本雅淑(大正大学人間学部教授)監修,特定非営利活動法人 学校経理研究会発行
2.NHK『人生デザインU_29』
http://www.nhk.or.jp/u29design/archives/15011/(2017年1月14日アクセス)
3.教育学術新聞:教育学術オンライン(平成18年8月第2243号 8月23日)
『大学がUSRに取り組むためにー3ー』新日本監査法人 公認会計士 植草茂樹
教育学術新聞 : 教育学術オンライン 第2243号|日本私立大学協会
(2017年1月14日アクセス)
トヨタ | ステークホルダー・エンゲージメント (2017年1月14日アクセス)