元大学職員のスピーチ

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大学業界の嫌いなところ

すごく久しぶりの更新です。

元大学職員で、元PR会社に勤め、7月から新しい職場で働き始めた私ですが、ふと思いついたので「元大学職員から見た大学業界の嫌いなところ」という炎上しそうなテーマで書きたいと思います。

 

大学職員サイコー!みたいなブログしか見ないけど、合わない人には合わない業界です(まあそれはどの仕事も一緒か)。特に無駄が嫌いとか、面倒なことが嫌いな合理的な人には合わないんじゃないかな、と思います。

これから書くことは、一つの大学にしか勤めていない一個人の感想なので、全ての大学に当てはまるわけじゃないです。その点をご了承いただけますと幸いです。

 

大学業界の嫌いなところ 

①「イノベーション、教育業界の変革が必要」と言い続けて早何十年なところ

大学にもイノベーションが必要、変革が必要と言い続けて時間が経っている印象があります。良くも悪くも、大学は急激な変化ができないように法律やらなんやらで整えられています。行政も大学業界も、教育にイノベーションをと言いながら、あまり変われていない現状があります。大学職員として変えたくても、組織が大きすぎたり、しがらみがありすぎたり、法律が邪魔すぎたりして、変えられないことが結構あったりします。

 

②地味にストレスを抱えている若手が多いところ

ある一定の世代の大学職員は、今のような高倍率をくぐり抜けてきたわけではありません。だから、社会人としてどうなの?という人もわりと存在していたりします。

もちろん、高い志を持っていて、勉強を続けていて、知識がたくさんあって、とても尊敬できる方も一部いらっしゃいます。ただ、ガッチリ年功序列の組織なので、上記のような社会人としてなっていない上司の元で働くことになると、例えばひたすらファイリングで22時まで残業になるといったような意味を見出しづらい仕事をやらされたりするなど、仕事が非常にしづらく、ストレスを抱えることになります。

また、教員や学生とのコミュニケーションの中でストレスを抱えることもあったり、なかなか進捗しない仕事や、無駄の多い承認フローやコミュニケーションにストレスを抱えることもあります。私が勤めていた当時(約2年前)、勉強会などで知り合った方や友人の若手大学職員などでストレスを抱えている方が3人に1人はいたと思います。

 

③ゼネラリスト育成なキャリア形成であるところ

これも良し悪しではあるのですが、ここまで2〜3年でそれまでの経験と無関係な部署に異動させる組織もなかなか珍しいと思います。この仕事楽しい、この仕事向いてるかもと思っても、それを深掘りできるようなキャリアは築きづらい業界です。

 

④紙文化、ハンコ文化

最近ペーパーレスを推進している大学も増えてきていますが、前職では紙の会議資料をスキャンして、PDF化してペーパーレスと言っているようなデジタル迷子も結構いました。ペーパーレスとは…と思うこともしばしば。

あと、ハンコ文化は根強いです。電子決済を導入したいと考えている職員の方もかなりいらっしゃるとは思いますが、実現できている大学は少ないと思います。

 

⑤大学職員のあるべき姿について、ずっと議論していて堂々巡りなところ

「大学めっちゃいい!!転職方法はこちら!!」みたいなブログやTwitter、サイトが何ヶ月かに一度湧きます。それに対して、実態はこうでああで、こういうサイトに書いてあることは間違いだ!!みたいな議論が何ヶ月かに一度、定期的に起こります。

いろいろな方のお話を伺っていると、「大学職員のあるべき論」ってもう何年も前から繰り返されている話だそうで。議論が先に進まなくて、同じところを堂々巡りしているのが、時間もったいないなあと思ったりします。

 

⑥勉強会に参加して満足しちゃう人が比較的多いところ

こういう人が結構多いです。大学側も、勉強会にどれだけ参加したかというところだけ評価して、じゃあそこで身につけたことをどうアウトプットしたかということは見ない傾向にあると思います。

あと、勉強会に行くと「勉強会マスターおじさん」とか「勉強会に出たり、勉強会で顔がきくことがステータスおじさん」「勉強会で登壇することがステータスおじさん」がいて、新人に大きい顔をしてくることがあります。そういう人がいるから若手が勉強会に定着しないんだっていうことに、早く気づいて欲しいです。

 

⑦大学で学んだことを軽視しすぎ

これは世の中に対しての問題提起ですが、いまだに大学で学ぶことを軽視している社会を牛耳っているおじさんたちに、今の大学生は程度の差はあれど、本当によく勉強していると何とか理解させたいです。おじさんたちが大学生だった頃とは時代が違います。

大学で学んだことなんて役に立たないといっているそこのあなた。それはあなたが大学での経験を活用できていないだけだと思います。そりゃ文学の知識とかは直接役立たないかもしれないけれど、研究するためのリサーチ能力とか統計の見方とか、文献の読み方といったようなリテラシーは、私自身、現職で非常に役立っていると感じています。

 

色々書きましたが、このコロナが一つの転機になって、世の中が少しでも良い方向に変わるといい、かつて勤めていた大学業界もより良い方向に変わっていくといいのになと思います。