『日本再興戦略』落合陽一、今後の教育を考える時におすすめな一冊です。
今何かと話題(だと思う)の、筑波大学学長補佐の落合陽一氏。Twitterアカウントをフォローしているが、考え方が面白い方だと思う。より詳しくその考え方を知りたいと思ったので、本屋さんで目に付いた1冊『日本再興戦略』を購入してみた。
結論から言うと、教育関係の仕事に従事している人は一読してみても良い本だと思う。どの章も要は「これまでの常識を疑って、新しい仕組みを作っていくべき」「技術がすぐにアップデートされるこれからの時代は、頭で考えてばかりではなく、行動したり手を動かすべき」ということが一貫して書かれているのだが、研究者、経営者、アーティストという3つのわらじを掛け持ちしている落合氏ならではの、多方面から見た視点で日本の過去と未来が論じられていて、教育や日本社会のこれからを考える上で参考になる。
ざっくりとまとめると、下記の通り。
- 日本は「欧米」に学ぼうとしてきたが、「欧米」は幻想。欧州と米国はかなり違うし、デジタル技術が発展するこれからの時代は西洋の二項対立的・一神教的思考法ではなく、東洋の複数のものを折衷できる思考法が役に立つ。
- これまでの大量生産、大量消費社会に合う教育方法は、これからの時代役に立たない。一人ひとりを型にはめない教育方法が必要。
- これからは研究者も自分で稼ぐ仕組みが必要。研究者自らが起業して、得た利益から自分の給料や研究費を賄うモデルがいいのではないか。
- 日本は人口減少社会に向かうが、デジタル技術やロボット技術など、テクノロジーを使うことによって生産性を上げたり、より住みやすい社会にすることが可能。
- これからの時代は1つの職業に従事する旧来のスタイルではなく、一人の人が「百姓」的に複数の仕事をするスタイルになっていく。
- 新しい時代に磨くべき能力は、「ポートフォリオマネジメント(複数の職業をもち、コストと利益のバランスを取る)」と「金融的投資能力(何に張るべきか)」。幼少期から五感を使い、子供が好きに能力を伸ばせるような各個人に合わせた教育や、センター試験の廃止、大学における研究とその支援が必要では。
今、政府も世論も産業界も、「大学改革」が必要という論調だ。じゃあどんな風に大学を変えていけばいいのか?これは大学に関わる私たち職員も、日本社会の今後について見通しを立てながら、自分なりの意見を持っていなければならないのだと思う。
まだまだ私自身も考えているところで、参考になる本はどんどん読んでいきたいし、自大学での仕事に活かしていけたらと思う。