元大学職員のスピーチ

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【読書記録】『ウドウロク』有働由美子〜ちょっと疲れた時に読みたいエッセイ

NHKアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍されている有働由美子さんのエッセイ『ウドウロク』。仕事に悩んだり、忙しい毎日に疲れた時、読んで元気をもらえる1冊だ。

 

ウドウロク (新潮文庫)

ウドウロク (新潮文庫)

 

 

タイトルの『ウドウロク』。逆から読むと「クロウドウ(黒有働)」。そのタイトルの通り、有働さんの日常や思考をエッセイの中で辿りながら、腹黒かったりとてもピュアだったりする有働さんの様々な側面を垣間見ることができる。

 

有働さんってNHKのNY支局で働いていたこともあって、英語がネイティブ並みにペラペラなイメージを持っていたけれど、あの英語力は現地で必死にもがく中で手に入れたものであることが書かれていて驚いた。どうせ自分は選ばれないだろうからと、社内のキャリアプランシートに少し盛って書いた英語力が認められ、NYに行くことになってしまったのだ。そんな有働さんだけど、周りが思うほど英語ができないことや仕事についていくために努力していることを人に知られないようにしたい謎の美意識をお持ち。そのために陰でこっそり、でもあたふたしながら努力をされている姿は、完璧な人っていないんだなあと安心するエピソードだった。

 

本書には有働さんの恋愛観や家族観に関する文章も幾つか収録されている。有働さん、チャキチャキ仕事をこなすデキるキャリアウーマンに見えて、実は”だめんずウォーカー”な一面もあったり、母の前では「甘えている子供」な一面もあったり。一人の人間には自分の知っている「その人」だけではない、自分の見えていない部分にもいろいろな「その人」がいるよなあということを改めて考えさせられる。

 

あの楽しそうに仕事をしている有働さんでも仕事に行きたくない日はあって、恋愛に結婚に悩む日もあって。そういう有働さんの姿に、自分の悩む姿も悪くないと思える。

 

エッセイって食わず嫌いだったけれど、エッセイを読む時間というのは、誰かの生きる姿勢、思考、日常の跡を辿ることで自分を見つめる時間がもらえる贅沢な時間なのかもしれない。

考える癖をつけてくれた上司に感謝しかない。

新卒で今勤めている大学に入った頃、入試関係の部署に配属された。今年で働き始めて約5年。今思うと、そこで出会った上司には本当に感謝しかない。働くことがまだよくわかっていなかった私に、何事においても必ず自分で考える癖をつけてくれたからだ。

 

大学という組織しか知らないが、この職場は比較的ルーティンも多いと思う。少子化に起因する斜陽産業ではあるけれど、激しく変化する市場環境ではないため、前例踏襲で仕事をしてもわりとなんとかなってしまう(数年間は)。思考停止でもそこそこ仕事は進められてしまうのだ。

 

配属された当時、私は仕事に関して上司の意見・話をただ聞いてその通りやることが"相談する"ことだと勘違いしていた。私の勘違いを見抜いていた上司は、「星野はどう思う?」「どうしてこういう仕事をすると思う?」「どうしたらより良い仕事ができると思う?」と事あるごとに質問をしてくれた。そのおかげでどんな仕事に対しても、その背景を考えたり、自分の意見やアイディアを考えたり、より良いやり方を考えることが大切だと気づくことができ、考える癖を身に付けることができた。

 

仕事は、しようと思えば思考停止がいくらでもできる。単に作業として目の前のことを前年踏襲で進めていけば良い。

 

でも、それでは勤めている大学に対してより良い仕事ができないと私は思う。市場環境の変化は劇的ではないものの、それでも数年前からは大学を取り巻く環境は変化している。その時代、その時々にあった仕事のやり方があるはずである。また、私の携わっている広報という分野では、大学の何を誰にどう伝えるかを工夫することが大学としても今の時代は求められている。思考停止では仕事ができない。

 

その上司とはおよそ1年半、一緒に仕事をさせてもらったが、今でもあの1年半に言われたこと、教えてもらったことは私の基礎になっていると思う。

 

大事な基礎をこれからも意識しながら、仕事をしていきたい。

大学職員には『働くママ』のロールモデルがいる。

先日、義母にこんなことを言われた。

「自分は専業主婦の家庭で育っているのに、また仕事に復帰しようと(保活を)頑張っていて偉いわねえ。私なら6ヶ月も休んだら仕事を辞めちゃうと思うわ。」

 

実は私も大学時代、専業主婦になりたかった。仕事とはどういうものか、自分が仕事をしたらどんな風に働けるのかが分かっていなかったからだと思う。 いずれ就職しても、出産を機にやめたい気持ちが心のどこかにあった。

 

だから、私の就職活動は迷走した。やってみたいこととライフプランの相違が激しくて、それを見抜かれていたからどこからもなかなか内定がもらえなかった。いろんな業界をさまよって、結果として大学職員に落ち着いて、今がある。専業主婦になりたかったからこそ、今思えばベンチャー企業などでインターンをやった方が良かったのだと思う。仕事とは、働くとは、ということを体感した方が私にとっては就活時に最良の選択ができたに違いない。

 

そんな私だが、約4年ほど大学職員として働いてみて、今は全く違う考えを持っている。仕事を辞めるよりも、「仕事を続けたい」と思う。

 

考え方が変わった背景には、大学という職場に「働くママ」が多いということがある。先輩や上司が子供を育てながら、仕事もバリバリこなしている。そんな姿を見て、子育てと仕事の両立が自分自身もイメージしやすくなった。子供の体調不良で急遽休まねばならない日があること、お迎えの時間があるからこそ効率よく仕事を片付ける必要があること(それが上手くなってくること)、日々大変だけど保育園の行事で子供が成長した姿を見るのは楽しそうなこと…などなど。

 

子育て中だからといって、大学という職場では軽い業務を振られるわけではない。働くママでも教務や入試、キャリア、法人企画など、忙しい部署で責任ある仕事を任されて働いている人はたくさんいる。面白く仕事をしながら、子育てをしてもいいのだ。

 

これからの日本社会のことを考えても、働いていた方がいいなと思う。年金はゆとり世代はもうもらえないと思うし、世界情勢も何だか怪しげだし、パートナーのそんなに高くない収入だけでは一昔前よりも上がっている娘の学費を払いきれないし。パートナーだけでなく私も働いてダブルインカムでいることが、あらゆるリスクヘッジになる。

 

娘と私の関係にとっても、私が働き続けることは悪影響ではないように思う。色々考えすぎてしまう性格だからこそ、専業主婦として家にいたら、娘に過干渉になってしまう気がする。重すぎる愛情は子供に良い影響を与えない。

 

無事に保育園に入ることができ、仕事に復帰できたら。私が先輩や上司から影響を受けたように、私自身の働き方も後輩や誰かのロールモデルになれたらいいなと思う。「子供がいてもこうやって働けばいいのか、こうやって働けるのか。」誰かの背中を少しでも押すことができたら嬉しい。

 

ルンバ680のコスパが良い。

先日ついにルンバを購入した。

私が買ったのはルンバ680。

 

 ルンバの最新機種は10万円近くするのに、ルンバ600シリーズなら4万円しないで入手できる。アプリと連携した遠隔操作はできないが、掃除の予約は本体でできるし、そもそも掃除の予約機能を使わなくても問題がない。出かける直前に床の上の物をどかして、ルンバを起動させれば掃除をしてもらえるからだ。

 

掃除機の吸引力も良い。3部屋ある我が家の各部屋を何度か掃除しに回ってくれて、ほこりや髪の毛などを「え!こんなにあったの!」というほどかき集めてくれる。毎回1時間みっちり掃除をしてもらうが、ルンバはダストケースをいっぱいにして帰ってくる。

 

音も普通の掃除機ほどうるさくないので、賃貸マンションでも気にせず使うことができている。

 

もともとは「ルンバ=値段が高い」という先入観で、ルンバではなく掃除の補助としてブラーバを買う予定だったのだが、調べてみると意外とコスパが悪かった。ブラーバにつける床ふきシートは市販のものだと装着に一手間かかるし(ブラーバのサイズに合わないので装着に工夫が必要)、専用の床ふきシートは高い。ブラーバとほぼ同じ値段で買えるなら、手間なくボタンひとつで掃除機をかけてくれるルンバを買った方が断然便利だと思う。

 

娘が生まれ、喘息などにならぬよう毎日掃除機をかけたいけれど、日中は娘から目が離せず掃除機をかけづらい。ルンバを買ってからは、娘とお散歩に出ている間にルンバが掃除機をかけてくれるので、掃除へのストレスがかなり減った。

 

子育て家庭にゆとりをもたらしてくれるルンバ、素晴らしすぎる。ルンバ様様である。

 

宣伝会議『広報担当者養成講座』は無理に行かなくてもいいと思う。

新しく広報の仕事を担うことになり、宣伝会議の『広報担当者養成講座』を受けようと考えている方もいるのではないだろうか。

 

www.sendenkaigi.com

 

私も約2年前に広報課に異動し、プレスリリースの書き方やメディアリレーションについて学ぶために『広報担当者養成講座』を受講したことがある。

 

結論から言うと、『広報担当者養成講座』は無理に受ける必要はないと思う。受講料も約10万円と結構高いし、毎週金曜日の夜3時間を取られることになる。読書がよっぽど苦手でなければ、広報実務をまとめた本や事例を集めた本を読んで、自分の属する組織で役立ちそうなポイントを仕事の中で実践してみた方がコスパがいいし、実際の広報スキルも身につくと思う。

 

講座では、プレスリリースの書き方、メディアがどうニュースを作っているのか、広報の最新事例、メディアリレーションの作り方に関する話を聞くことができる。各回、そのテーマに精通する講師(新聞記者、サイバーエージェントなどの広報が得意な企業の広報担当者、広報コンサルなど)が登壇する。話は結構面白かったけれど、表参道のお洒落なセミナールームで有名企業の広報担当者の成功事例や新聞記者の話を聞いて、「広報としてのスキルが身についた気になってしまうリスク」が高いと個人的には思う。

 

もらったテキストも引っ張り出して再読することもないし、むしろ自分で購入した本の方が再読して仕事の中で実践することが多い。

 

最強のPRイノベーターが教える 新しい広報の教科書

最強のPRイノベーターが教える 新しい広報の教科書

 

 ↑こういうのとか、

戦略思考の広報マネジメント

戦略思考の広報マネジメント

 

 ↑こういうのとか、

近大革命

近大革命

 

↑こういうのとか。 

 

講座を受けたいけれどお金がなくて迷っている…という方。講座は無理して受けなくても大丈夫。その代わり広報に関する本をたくさん読んで、参考になるところに線を引いたりノートにまとめておくといいと思う。

 

私も育休復帰後、元の仕事に戻るのかはわからないけれど…。育児の合間で読書は続けていきたいと思う。

大学業界はもっと採用広報に力を入れたほうがいいのでは?

就職活動時から思っていたことがある。

大学の職員採用情報は見にくすぎる。大学という組織は採用広報に力を入れなさすぎではないか?

 

採用広報をしなくても人が集まってくる人気職種ということなのだろうか。しかし、自大学が求める人材を採用するなら、例えば採用ページを整えるなど、最低限の採用広報はすべきだ。

 

私は就職活動に迷走していたので、大学以外にも本当に色々な業界の企業を見てきたけれど、規模は問わずどの企業も採用広報は工夫していたように思う。先輩社員へのインタビュー記事がウェブサイトに展開されていたり、その企業の歴史や理念がわかりやすくサイトや会社案内にまとめられていたり、会社の雰囲気がわかる写真を多く掲載していたり。会社説明会で実際に社員に質問をする機会があったり、事業内容のポイントが見やすくまとめられたパワポ・映像・資料があったり。

 

大学職員の就職活動では、そのような工夫された採用広報を見かける機会が少ない。(なんなら採用説明会をやっているところも少ない。)これは非常に勿体無いことだなあと思う。その大学で働くことが具体的にイメージできるような情報をきちんと出すことによって、もっと自大学で活躍してくれるような優秀な人材が採用できるかもしれないのだ。また、「思っていた職場と違った」というようなミスマッチによる離職や個人の能力を活かせない事態も避けることができる。

 

優秀な人材の定義は各組織で様々あるだろうが、概ね共通して大学職員の典型的なイメージにあるような大人しい人材より、何かを企画したり、これまでにないような新しい取り組みを実行したりできるような人材も求められていると思う。そういう「大学にこれまでいなかったような人たち」に、職場として魅力を感じて入ってきてもらうためには、やはり採用広報の工夫は欠かせないだろう。

 

ただ、最近は新卒採用サイトを充実させる大学も増えてきている。例えば以下に挙げるような大学。

大阪大学

www.osaka-u.ac.jp

東京大学

東京大学職員採用情報

明治大学

www.meiji.ac.jp

大正大学

www.tais.ac.jp

 

これらの大学のようにきちんと情報を出していくには、広報担当者と人事担当者、経営層との連携が不可欠。複数関係者が連携して大学自体の魅力と職場としての魅力、どんな人材を求めているのかを学生や転職をめざす人たちにわかりやすく伝えることを目指すのが良いと思う。

 

採用広報は課題だなと思って少しずつ仕事の中で手がけてきたが、その結果はどうなるだろう…。

 

もっともっと色々な人に大学という職場の魅力を知ってもらい、様々な人に関わってもらって、これからの大学業界が面白くなっていけばいいなあと思うなどする火曜日の夜でした。

暇な仕事と大学職員

暇な仕事ってあるのかなーと思う。仕事はどの職業でもお金貰ってる以上、暇な状態ってほとんどないんじゃないかなーと。頭を使う仕事か体を使う仕事か、そういう仕事の特徴の違いはあるかもしれないけれど。

 

どんな理由で大学職員を志望してもいいんだけど、「暇そう」とか「コスパがいい」とかいう理由で志望すると激しくミスマッチを起こすと思う。

 

それは職場によるし、部署によるし、人による。教務(医学部事務含む)、学生支援、キャリア、広報、入試、法人企画などなど、忙しい部署はたくさんある。

 

仕事をたくさん抱えていても、仕事の仕方がうまいから基本的に定時で帰る人もいるし、暇かどうか、コスパの良さとかよりもその仕事をしたいのかどうか今一度心に問いかけてほしいなあと。冒頭にも言ったけど、仮にも雇われてお金をもらっているのだから、全うしなければならない責務みたいなものは必ず生じる。それは大学職員という仕事でも同じ。

 

かつて尊敬する人が言っていた、大学職員を胸張って言える仕事にしたいということ。私も本当にそう思う。だから、私は私の仕事を全うするし、仕事の中で目標やあげたい成果(例えば認知度を上げるとか)があるから勤務時間外も勉強や情報収集をする。

 

日頃考えていることやスタンスは行動や言動に出る。自分が考えているより人はそれを見ている、と思う。