【新人・若手職員向け】大学関連のことを勉強したいと思った時に使える手段一覧(前編)
早いもので2018年も3月がもう終わろうとしている。4月から新卒、転職で大学職員になるという方も多いのではないだろうか。
まだ大学業界のことをぼんやりとしか知らないし、今後のキャリアのことも考えて外で勉強してみたいという方向けに、私の知りうる限りの手段を二記事にわたってまとめてみたいと思う。
大学関連のことを勉強したいと思った時に使える手段一覧
1.勉強会・セミナー系への参加
勉強会やセミナーに参加するメリットは、取り上げられたテーマについて概論を学ぶことができ、他大学職員の知り合いができることだと思う。いろいろな団体で各種勉強会を開催しているので、興味があるものに積極的に参加をしてみると業界動向が少しずつ見えてくるはず。勉強会の開催情報は「あさがおML」に登録すると効率的に入手できる。
勉強会を開催している団体で、若手が参加しやすい団体を下記にまとめておく。
①Greenhorn Network(通称GN・ジーエヌ)
若手大学職員による自主勉強会。他大学の施設を見学する「お散歩企画」からがっつりワークショップを行う勉強会まで、幅広く活動している団体。他団体に比べると比較的かたくない企画が多く、新人職員には参加しやすいと思われる。
②コクダイパン会議
国立大学一般職員(係長以上を除く、係員・主任級の職員と同団体では定義)による勉強会。私は私大職員なのでどのような勉強会なのかをよく知らないが、私大職員でも名前を聞いたことがあるくらいには有名な勉強会。国立大学に勤める方、勤めている方は是非一度参加してみては。
③大学行政管理学会 大学改革研究会
一般社団法人 大学行政管理学会の中の、若手が中心となって立ち上げ、運営している研究会の1つ。様々なテーマで勉強会を開催しており、比較的「まじめ」な会が多いイメージ。他大職員とのつながりも作りたいけど、テーマについてしっかり勉強したいという方にはオススメの団体かもしれない。
2.学会所属
よりアカデミックに、理論や調査に基づいて大学教育について考えてみたい人は学会に所属して学会誌を読んだり、総会やシンポジウムに参加してみるのも良いと思う。ただし、学会所属には紹介者が必要。(総会等の参加は学会に所属していなくても可能なところが多いと思う。)自大学の先輩や他大学職員の知り合いに入りたい学会に所属している人がいないかリサーチしてみると良いが、もし見つからない場合は大学職員ツイッタラーで紹介者になってくれる方を”ゆる募”してみるのも手かもしれない。
①大学行政管理学会
大学職員によって立ち上げられた学会。研究者による学会とは異なるため、学会発表などは他学会よりアカデミックさが落ちる印象はある。ただ、大学の実務について参考になる事例が紹介されていることも多いため、教育理論より実務について事例収集をしたいんだ!という方は一度参加してみると良いと思う。
②大学教育学会
大学教職員が所属する学会。大学教育のあり方について、学術的に研究されているものが多い印象。(①の大学行政管理学会よりアカデミック)実務より理論を学びたい人、将来的に教学運営に携わっていきたい人は是非参加してみると良いと思う。
ちなみに私は両学会ともに所属していたが、どちらも退会した。学会費を広報系の情報収集と今後やりたいことに向けた勉強に振り替えており、自分が目指したい方向性によって学会の所属を考えてもいいと思う。
3.大学院の利用
もっと深く大学教育について学びたい、考えたいという人は大学院を利用するのも方法の1つだ。大学教育だけでなく、「人を育てる」「人を活かす」という視点で人事・組織運営やキャリアに関して学べる研究科へ進学する人もいる。
大学院の利用の仕方は2つある。1つ目は、科目等履修生として少ない科目から勉強を始める方法。2つ目は、思い切って研究科に入学し、2〜3年かけて修了を目指す方法である。ただし、大学院はただ進学すればいいというものではない。進学した知り合いを見ていると、やはり研究・追究したいテーマが明確になっている人がほとんどだ。(出願にあたって研究計画書を提出するのだから当たり前ではあるが)何を研究したいかわからないけれど大学院に興味があるという方は、まずは科目等履修生から始めてみると良いかもしれない。面白そうな科目をまずは履修してみることで、追究したいテーマが見えてくることもあるし、何より仕事と両立しながら学ぶことを具体的にイメージし、計画・準備ができる。科目等履修生で履修した科目は、その後大学院に進学した際に履修単位として認めてもらうことができるので、無駄にはならない。
大学院に進学するメリットは、院卒の資格が手に入り、自分の専門が明確化されることだ。これからの大学職員は「ゼネラリスト」であるべきか、「スペシャリスト」であるべきかという議論が業界内にあるけれど(個人的にはどちらも組織内には必要だと考えている)、スペシャリストを目指したい人は大学院で学び、専門性を深めても良いだろう。しかし、大学院進学にはかなりの費用を伴う。自分自身または家庭の生活もある中で、学費の工面をどうするのか。家庭を持っている人であれば、家族にどう大学院進学を理解してもらうのかといったハードルがあることは否めない。また、通学課程の大学院であれば平日の夜に授業が組まれることが多い。残業ができない日が発生するなど、仕事への影響も出てくるので、職場の理解を得ることも欠かせない。大学院進学には相応の計画が必要である。
前置きがかなり長くなったが、大学に関連する学び・研究ができる大学院を下記に挙げておく。
①桜美林大学 大学アドミニストレーション研究科
通学課程と通信過程がある。通信過程があるので、仕事をしながら学びやすい。関西圏在住で学んでいる人もいる。科目も高等教育の背景に関するものから、大学マーケティング論などの実務に直接関係するものまで幅広く展開している印象。
②東京大学大学院 教育学研究科 総合教育科学専攻 大学経営・政策コース
通学課程のみ。「高等教育行政」の観点から大学教育を考えたい人は東京大学大学院の方が良いかもしれない。
大学経営・政策コース-東京大学大学院教育学研究科: コース概要
③法政大学大学院 キャリアデザイン研究科
通学課程のみ。就職・進路に関する教育について考えたい人は、法政大学を調べてみても良いかもしれない。学費も比較的安い方。
④広島大学大学院 教育学研究科
大学業界内で有名なツイッタラー、松宮さんが在籍されている大学院。関東圏在住でも教育学関連で聞いたことのある研究科なので、関西ではもっと有名なのかな、と思っている。関東在住のため、詳しい事情はよくわからない。興味のある人は是非調べてみてください。
⑤その他
大学院とは少し違うかもしれないが、筑波大学 大学研究センターで履修証明プログラムを実施している。大学経営、マネジメント、会計について学んでみたい人はこちらを利用してみるのも手。つくばではなく、文京区の茗荷谷で受講できるので首都圏在住者には利用しやすい。
大学マネジメント講義|履修証明プログラム|筑波大学 大学研究センター
前編はここまで。後編では書籍やWebを中心とした情報収集についてまとめたいと思う。