元大学職員のスピーチ

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今月号の広報会議は必読です

大学広報に携わる方、そうでなくても興味のある方へ。

 

今月号の広報会議は必読だ。

今号のテーマは「大学広報」。

 

 

近大や東洋大、追手門大を事例に戦略的広報や戦略的ポジショニングについて分かりやすくまとめられている。

 

広報の仕事をするようになってから、広報会議は欠かさず目を通すようにしている。大学広報は業界内の知識、やり方だけでは足りない。一般企業の最新のやり方から学べることがたくさんある。

 

今月の広報会議でまとめられている、大学の戦略的ポジショニングにしてもそうだ。企業なら当たり前のマーケティングが大学では圧倒的に足りない。

 

もちろん、大学は教育機関である。そのため、小手先だけの手法でハリボテを作っても無意味だ。しかし、教育、研究の優れた取り組みと広報の手法が合わされば最強の組み合わせとなる。より効果的にメディアに取り上げてもらえたり、より自大学の特徴を明確に世の中に伝えることができる。近畿大学東洋大学がすでに実践して、証明済みだ。

 

で、自分の職場で私は何ができるのか。

なかなか近大や東洋大のように一筋縄で成功路線へ行くことは難しい。

 

今の私にできることは、近大や東洋大を目指して、自大学に足りないところを埋める、自大学の足りないところに土台を作って引き継ぐことだと考えている。

 

どこまでやれるかわからないけれど、星野マリエがいたことで、この後の広報が少しでもやりやすくなったら、私が携わった意味もあるのかなと思う。

 

企業のように数字がすぐに出る仕事ではないからこそ、仕組みづくりという点で結果を残していきたいなと思う、日曜日の夜でした。

 

 

 

 

 

マニュアル化することで業務の棚卸をする

マニュアルが整っている大学はどれくらいあるのだろう。

 

大学という職場は意外と口伝も多くて、まだまだ通常業務について統一したマニュアルが整っていないところも多いのではないだろうか。新人で配属されても、異動して新たな部署になっても、その部署に来たばかりの頃は仕事が全くわからず居心地が悪かった、なんてことはざらにある気がする。

 

いや、たしかに、マニュアル化ってめんどくさい。自分の業務について何も知らない人でも分かるように書こうとすると、かなりの労力を要する。忙しい時にはなかなかやる気にならないが、マニュアル化することにはメリットもかなりあると個人的に思っている。

 

 

マニュアル化することのメリット

①自分の業務の棚卸しができる

このメリットはかなり大きいと思う。何も知らない人がマニュアルを読めばある程度の水準までは仕事ができるようにマニュアルを作るとすると、その仕事の意義、背景、目的から仕事の手順、多少のイレギュラーに関する過去の事例まで書くことになると思う。この内容を書くにあたって、自分の業務を必ず振り返ることになる。あれはどうやったっけ、これはどうやってたっけ。思い返す中で、不要な手順が見つかったり、仕事の全体像を俯瞰して見ることができるようになるのだ。

仕事の全体像が見えてくると、全体の作業量が見えてくる。作業量が見えると自ずとその仕事にかかる時間もなんとなく計算できるようになる。

業務を効率化するという意味で、マニュアル化は役に立つのである。

 

②自分だけの仕事でなく、誰でもできる仕事にすることで新たなチャレンジができる

大学職員に多いのが、仕事が人についているという事態。これ、本当はかなり非効率的である。

一見その仕事のプロであるように見えるが、我々の仕事は弁護士や医者、教授などとは違う。本来誰でもできる仕事である。たしかに人には得手不得手があるので、その仕事に適任か不適かという判断はできる。しかし、その人がいないと仕事が回らないという事態はおかしい。

もし自分に仕事がついてしまっているなら、そのことを誇らずに今すぐマニュアルを作るべきだ。

マニュアル化して自分以外の人もその仕事を担えるようになれば、たとえばマニュアルを共有しておいて、自分が休みをもらった日でも問い合わせに自分以外の誰かが対応できるようになる。問い合わせ対応にとられていた時間を、次の仕事に回すことができるし、気兼ねなく休みをもらうことができれば外部で開催される研修で自己研鑽を積むこともできる。

空いた時間で新たな挑戦ができるようになるのだ。

私自身、マニュアル化したことによって他の人が私の仕事を担えるようになり、より上位の仕事に取り組むことができている。

 

まだまだマニュアル化率100%には程遠いが、日々少しずつマニュアル整備を進めていきたい。

 

 

追記

マニュアルというちゃんとしたものを作れない、という人はまずはメモを残すことから始めてみてはどうだろうか。

 

ある業務の今年度の反省点で、次年度は改善したいことを箇条書きでパソコンのメモ帳にメモして、共有フォルダに保存しておく。少しわかりづらい仕事の手順を思いついた時にパッとメモしておく。これだけでも、次年度急に自分の仕事を引き継がねばならなくなった際にかなり安心である。

「言われたことをただやる」のは入社一ヶ月目まで

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周りを見ていて思うことがある。

仕事ができる人というのは誰しも、自分の仕事に対して何かしらの工夫を加えている。

いつの間にかマニュアルが整っていたり、その人が作ると資料がやたら見やすかったり。言われたことをただやるのではなく、言われたことに対して何が最適解なのかを自分で考えて行動に移している。

 

後輩を見ていて思う。ぐんぐん仕事を吸収していく後輩は視野が広くて、言われたことをただこなす人にはなっていない。

 

必ず一度自分の頭を通して考えて、分からないことは自分なりに考えたり調べたやり方であっているか聞いてくるし、こちらが伝えきれていなかったことまで気がついて、それをやるべきか聞いてくる。仕事の先を見ているし、担当業務や部署の中で自分がどう動くべきかをよく考えている。

 

言われたことをただこなすのは確かに楽である。何にも考えなくて良いし(考えるのは力がかかるし時間もいるし)、責任は自分が持たなくて良い。でも、それで仕事は楽しいか?と思う。

 

言われたことをこなすだけならアルバイトでいい。私が、あなたがその職場にいる意味を作れるか?その仕事を担う意味を作れるか?仕事は辛いこともままあるが、その中でも楽しみを見出したいなら、まずは自分の頭で考えて仕事にコミットすることだと思う。

 

言われたことを言われた通りにただこなす。これは右も左も分からない、まずは仕事のやり方とその職場のルールを覚えねばならない入社(入職)一ヶ月目までだと思うのだ。

 

働き方も仕事のあり方も今後次々と変化を迎える、この先の予想のつかないこの時代に求められるのは、自ら考えて仕事を最適化できる人、自ら道を切り開いていける人なのではないだろうか。

 

何か1つでもいいから、今取り組んでいる仕事に自分なりの工夫を加える。私自身も改めて意識したいことである。

悩んでる人が多い気がする。大学職員。

約2年前からだったか。

大学で働く人としてTwitterを始めた。

大学職員と思われる方や大学関係のアカウントをフォローして、業界動向の情報収集をしている。(乗っ取り被害にあって一度アカウントを変えているけど。)

 

ここ最近、若手から中堅まで色々な方をフォローして、日々のツイートを眺めていて思うことがある。

 

大学職員、日々悩みながら仕事をしている人が多くないか。

 

Twitterがネガティヴなことを呟きやすいツールであるということを差し引いても、である。実はSNSが趣味なので、他業界の方のつぶやきもリスト化してチェックするようにしているのだが、他の業界に比べてどうもある種の悩みツイートが多い気がするのだ。大学職員。

 

その悩みの種はどこにあるのだろう。何故悩みが尽きないのか。

 

多くの人のつぶやきに共通するのは、組織の人に関する悩みであるということ。あくまで個人的な所感だけど。

 

同僚の仕事に振り回されて悩む人、先生との関係性に悩む人、後輩とのコミュニケーションの齟齬に悩む人、上司のマネジメント不足に悩む人、上層部の意思決定に振り回されて悩む人。などなど。

 

これもあくまで私個人の考えだが、大学職員が事務屋でよかった頃はこういう悩みも少なかったのではないか、と思う。大学職員として求められることが増え、事務局の組織のあり方を変えねばならない時代に、組織の変革が追いついていない結果起きるのではないだろうか。

 

上司のあり方が過去の組織で良しとされていたものから変わらねばならないのに、変わっていないからマネジメント不足が起きる。先生と職員との関係性も変わっていかねばならないのに、先生側の理解や職員側の理解が追いついていないから、齟齬が起きる。

 

これらの問題は、研修制度の充実や組織改革を行う中で地道に課題をクリアしていくしかない気がする。故に、解決にはすごく時間がかかるな、と思う。

 

悩みの種はまだまだ尽きることはないのだ。

その悩みとどう付き合うか。いかに自分が動けるか。相手が変わらないなら、変えるために少しずつでも動く。私自身まだまだ不足しているし、むしろ未熟で、時に頑なになってしまうのを変えねばならないけれど、目指す方向に持っていくために自分に何ができるかを考えて仕事をせねばならないのだと思う。(それは別に1人でやらなくてもよくて、上司の力を借りて人を動かすのもあり。)

 

うーん。日々精進ということか。

今日も悩みながら仕事をしてきます。

 

 

 

広報担当者として取りたい資格〜PRプランナー検定〜

つい先日、とある合格通知書が届いた。

820日ごろに受験した資格、PRプランナー検定1次試験の結果だ。

 

社会人になって3年目までは仕事のやり方を身につけることに注力しすぎて、その他の勉強まで手が回らなかった。4年目を過ぎた今、やっと色々な勉強を始めている。(というか、4年目にもなってくるとそろそろ他の知識を身につけていかないと成長が止まるし、今後求められること、自分が求めることに追いつけなくなる気がしている。)

 

 このPRプランナー検定日本パブリックリレーションズ協会が実施している試験で、広報の実務能力や知識をどれくらい持っているか客観的に証明する資格である。

 

この資格を取ろうと思ったのは、

①勉強した内容がすぐに私自身の仕事に活かせると思ったこと

②大学での仕事はなかなか一般社会に理解して貰いにくく、自分が持っている知識や能力を証明する何かが欲しかったこと 

この2つが理由だ。

 

実際に勉強してみて思ったのは、大学職員にも充分オススメの検定試験であるということ。

 

今、一般企業でも大学でも、広報は経営上重要な業務と位置付けられることが多くなっている。(広報と広告宣伝は違う。広告を打つことが広報だと思っている人も結構多いが、広報は社内・大学内の情報をいかにメディアやステークホルダーに刺さる形かつ信頼できる形で伝えていくかを考えて、実践する仕事だ。)

 

大学業界で広報の力を120%発揮した好例が近畿大学東洋大学近畿大学は建学当時からの理念に基づいた水産研究が身を結び、養殖マグロのPRで成果を上げた。日本初の実績だけにメディアにもバンバン取り上げられ、そこからさらに様々なアプローチを仕掛けて志願者を大きく伸ばしている。東洋大学も駅伝などのスポーツを皮切りに、最近は女性の働きやすい企業ランキングなるものを研究成果として作り、うまく世の中の関心と合わせながらメディアや企業へのアプローチを展開している。

 

この少子化・大学の競争激化の時代に大学が生き残っていくためには、自大学を「外」に正しくPRしていく「広報力」を高めていくことが欠かせないのだ。

 

しかし、これまで大学という組織はあまり「外」を意識して仕事をしてこなかったように思う。各部署の仕事が、社会の中でどんな価値・意義を持つのか。他大学と比べてどこが違うのか、どこが自大学ならではの取り組みと言えるのか。自大学にはどんなリソース(先生、学生、部活動、施設、環境など)があるのか。今どんなことに取り組もうとしていて、それは社会にどんな影響を与えられるのか。これらのことを、どんなターゲットにどうやって伝えていくのかについて、きちんと理解して実行できている大学職員はどれくらいいるだろうか。私自身、まだまだ目指すレベルに到達できていなくて非常に悔しいしもどかしい。

 

大学の広報はまだまだ一般企業に比べれば遅れをとっていると言わざるを得ない状況で(もちろん、大学と企業は成り立ちや組織のあり方が多少違うので一概には比較できないが)、体系だった広報の知識や手法を持っている大学は少ない。

 

広報担当者として知識や考え方を新たに身につけたり、OJTで得た言語化できていない手法を一度整理したりするために、広報に特化した検定試験を利用するのもアリなのではないかと思う。

 

実はこのPRプランナー検定、項目はまだ少ないけれど企業以外の組織における広報についても設問が設けられていて、公式テキストで勉強すればその辺の知識も手に入る。大学で働く広報担当者も、広報担当者じゃないけど興味ある人も、将来的に広報に携わってみたい人も、一度検討する価値はあると思う。

 

なんだか宣伝みたいになってしまったし、文章の締めがうまくいかないのだが、こういうのも大学職員のSDとしてありだよね?ということで、今回の記事は終わらせたい。

 

ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

大学職員は学生を育てられる?

この記事を読まれる方が大学職員を目指している(もしくは目指した)理由は何だろう。

 

学生を育てたい。学生の力を引き出したい。

学生が夢を実現する手助けをしたい。

 

そんな想いから大学職員になりたい(なった)人も一定数いるのではないだろうか。

 

 

 

果たして、大学職員は仕事を通して学生を育てられるのだろうか?

 

 

 

私個人の考えとしては、3割「Yes」、7割「No」である。

なぜなら、大学の仕事は対学生相手のものばかりではないからだ。

 

確かに、教務部や学生部などの学生と関わる部署であれば、学生との関わりを通して学生を育てることができるかもしれない(よく、大学職員は社会人として学生を育てるのだというような議論を聞く)。ただそれは、締切を守るとか、学外の人と接する時の言葉遣いや態度とか、卒業後に社会で困らないような一般常識を体得させる意味である場合が多いように思う。

 

だが、それは大学の仕事の一部分でしかない、と私は考えている。

大学という機関が社会の中でどのような役割を持っているのか。

大学は確かに学生を育てているが、それだけではない。

 

「知」を生み出す場所として、研究者を抱えている。いかに研究しやすい環境を整えて、世の中に役立つ研究をしていくか。これも大事な仕事である。

 

「地域」の拠点として、様々な地域をつないだり、企業と教員をつないだり、企業同士をつないだり。社会の基盤を下支えする。これも大事な仕事だ。

 

卒業生や保護者に、大学に愛着を持ってもらい、応援してもらう。そのためにいろいろな情報開示をしたり、イベントを開いたりする。これも大事な仕事。

 

高校生に大学に興味を持ってもらい、大学に来てもらう。そのために広告を出したり、イベントを開いたり、キャンペーンを考えて実施したり。これもまた大事な仕事である。

 

大学は多様な役割を持っていて、多様な仕事がある。

学生対応以外にも興味を持てるか?

そもそも大学という場所が好きか?

人を育てる仕事なら他でもできるのではないか?

大学職員になりたい人、大学職員になったけどなんとなくモヤモヤしている人はここを今一度振り返ってみると良いのかもしれない。

 

自分の今後のキャリアを考えたり、仕事について振り返る時、どうしても視野が狭くなりがちである。視野を広げる努力を続けていきたいと思う。

【読書記録】「転職に向いている人 転職してはいけない人」黒田昌行

大学職員として、一個人として、一人の女性として、今後のキャリアをどう考えるか。

正解はない。

 

この本を読んだのは、今後自分の中で仕事をどう位置づけていくか、仕事に対するスキルをどう位置づけていくかを考えたかったからだった。

 

先日、Twitter上である方にお勧めいただいた1冊。

www.amazon.co.jp

 

転職したい人にはもちろんオススメだけれど、自分が今後どういうスキルを身につけていくべきか悩んでいる人にもオススメの本だ。

 

筆者である黒田昌行氏は元リクルートで、転職雑誌や転職支援サイトの編集長を勤めた経歴の持ち主。現在は「ミドル世代の適正なマッチング」をテーマに中途採用市場に関係する企業を経営している。

 

本の内容をざっくり要約すると、

  1. 現在の職場への不満を原動力として行う転職はたいていの場合うまくいかない(転職をしても、転職先で新たな不満が勃発したり、条件が思ったよりも良くなかったりして、結局不幸せな転職になってしまう)
  2. 今の職場でやれることをやりきった人がする転職は、円満な場合が多い
  3. 「ポータブルスキル」を見極める。そのために、定期的に自分の携わっている仕事やそれによって身についた能力の棚卸を行うと良い
  4. 雇われる側ではなく、雇う側に立って自分の能力を整理し、PRする

ということが書かれていた。

 

特に注目すべきなのが「ポータブルスキル」という概念。

転職を考える際、よくやりがちなのが「現在の仕事で身についた能力は同業界・同職種で生かせるものだから、転職先も同業界・同職種で探す」というもの。しかし、自分の仕事を定期的に見直して、自分のスキルの中でどの業界でも応用できるスキル=ポータブルスキルは何かを点検しておくと、自分の可能性を広げることができると黒田氏は述べている。

 

本の中では下記のような例が出ていた。

生命保険会社で営業担当部門長として生保レディをまとめていた経験があるAさん。現在は食品メーカの品質管理部門長の仕事で過去の経験を生かし活躍している。なぜなら、品質管理部門の仕事が、現場で働く多くのパート、アルバイトを束ねてルーティン業務である品質管理や衛生管理の行動を徹底させることが肝であり、それは生命保険会社で生保レディをモチベートし、日々の業務をマネジメントする力と通じていたから。

なるほど、一見特殊なように思える仕事でも、その仕事に必要な力の肝は何なのかを抑えることで、他業種でも生かせることがあるのである。

 

私たちはとかく日々のルーティンに追われがちだが、「今の自分の仕事は何で、どんな力が必要なのか」を定期的に見直していくことは、職種や仕事のあり方、働き方が少しずつ変わっていくであろうこれからの日本社会において大事なことなのだと思う。

 

私も一度、自分自身の仕事内容と持っているスキルを点検してみたいと思った。