元大学職員のスピーチ

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【読書記録】『ウドウロク』有働由美子〜ちょっと疲れた時に読みたいエッセイ

NHKアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍されている有働由美子さんのエッセイ『ウドウロク』。仕事に悩んだり、忙しい毎日に疲れた時、読んで元気をもらえる1冊だ。

 

ウドウロク (新潮文庫)

ウドウロク (新潮文庫)

 

 

タイトルの『ウドウロク』。逆から読むと「クロウドウ(黒有働)」。そのタイトルの通り、有働さんの日常や思考をエッセイの中で辿りながら、腹黒かったりとてもピュアだったりする有働さんの様々な側面を垣間見ることができる。

 

有働さんってNHKのNY支局で働いていたこともあって、英語がネイティブ並みにペラペラなイメージを持っていたけれど、あの英語力は現地で必死にもがく中で手に入れたものであることが書かれていて驚いた。どうせ自分は選ばれないだろうからと、社内のキャリアプランシートに少し盛って書いた英語力が認められ、NYに行くことになってしまったのだ。そんな有働さんだけど、周りが思うほど英語ができないことや仕事についていくために努力していることを人に知られないようにしたい謎の美意識をお持ち。そのために陰でこっそり、でもあたふたしながら努力をされている姿は、完璧な人っていないんだなあと安心するエピソードだった。

 

本書には有働さんの恋愛観や家族観に関する文章も幾つか収録されている。有働さん、チャキチャキ仕事をこなすデキるキャリアウーマンに見えて、実は”だめんずウォーカー”な一面もあったり、母の前では「甘えている子供」な一面もあったり。一人の人間には自分の知っている「その人」だけではない、自分の見えていない部分にもいろいろな「その人」がいるよなあということを改めて考えさせられる。

 

あの楽しそうに仕事をしている有働さんでも仕事に行きたくない日はあって、恋愛に結婚に悩む日もあって。そういう有働さんの姿に、自分の悩む姿も悪くないと思える。

 

エッセイって食わず嫌いだったけれど、エッセイを読む時間というのは、誰かの生きる姿勢、思考、日常の跡を辿ることで自分を見つめる時間がもらえる贅沢な時間なのかもしれない。