元大学職員のスピーチ

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いろんなフィルターを外して、相手と対等に向き合うことー映画『マイ・インターン』より

前々からずっと観たいと思っていた映画、『マイ・インターン』を視聴した。想像していた以上に良い映画だった。

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監督のナンシーは人間関係を描くのが上手い。夫婦、恋人、同僚、上司etc…、登場人物を通して人生の中で起こりうる人間関係をさりげなく、見事に描き出している。

 

中でも今回の作品の軸は「年齢差を超えた友情・信頼関係」にある。

主演はロバート・デ・ニーロアン・ハサウェイロバート・デ・ニーロが演じるのは仕事を定年退職し、妻も亡くして老後の時間を持て余した70歳の高齢者”ベン”。ベンはある時「高齢インターン募集」のチラシを見つけ、アン・ハサウェイ演じる”ジュールス”が起業・経営するファッション通販の会社で、ジュールス付きのインターンとして働き始める。最初は仕事ももらえず、うまくいかないと思われた二人の関係だったが、ベンの長年の経験・知恵と持ち前の明るく温厚な人柄で次第に周囲から信頼され、ジュールスとも信頼関係を築き、会社の問題やジュールスの家庭の問題に向き合っていく。

ザックリまとめると上記のような物語。

 

物語の中心であるベンとジュールスとの間の信頼関係がなんとも良い。

ベンは年齢を笠に着て同僚を下手に見たり、威張り散らすことは絶対にしない。相手と対等に向き合い、話を聞き、話をする。それが年下であっても、相手の良いところを純粋に尊敬し、それを伝えることができる。ジュールスも最初こそ老人を毛嫌いしていたが、ベンの人柄と仕事ぶりがわかると、相手が年上だからといってむやみに持ち上げたり距離を作るのではなく、相手と対等に話をし、関係を築くことができる。

年齢を超えた友人関係は、年を取っている方にも、若い方にも、お互いがそれぞれの考え方に影響を受けて、良い刺激となって、人生を豊かにしてくれる。そんな効果があるのではないか、と思った。

 

けれど、年齢差を超えた友人関係って、日本ではあまり見かけない気がする。実際、自分の友人関係を振り返ってみても、10歳以上年の離れた友人はほとんどいない。

日本では「年齢差」=「世代間ギャップ」=「お互いの世代の批判合戦」になりやすい。歳を重ねている人は若い子を見れば「あの世代は軟弱でダメだ」と言い、若い世代も歳を取っている世代の行動を見ては「あの世代は自己中だ」と言う。若い世代も、歳を取っている世代も、自分たちの属する「世代」というものに囚われて、相手を見る目にフィルターがかかっていないだろうか。そのフィルターで本来得られたであろう最高の友人に出会うチャンスを逃してしまってはいないだろうか。

 

同質な集団で同じ時間を共有するだけ、一緒に遊びに行くだけが友人ではない。

人生の節目節目で話をし、お互いの考え方に刺激を受け合う。それも友人の一つの形だと思う。

 

世代に囚われたフィルターを一度外して、まずは人として相手を対等に見てみる。その上で自分と気が合うなら関係を深めていけばいいし、そうでないなら深入りする必要はない。人間関係はそうやって主体的に自由に構築していっても良いものではないだろうか。

 

「相手を年齢差・所属など関係なくフラットな目で見て、一人の人間として接する」こと。人生を豊かにする基本姿勢。何歳になっても忘れず心がけたいな、と思った。