元大学職員のスピーチ

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【読書記録】「転職に向いている人 転職してはいけない人」黒田昌行

大学職員として、一個人として、一人の女性として、今後のキャリアをどう考えるか。

正解はない。

 

この本を読んだのは、今後自分の中で仕事をどう位置づけていくか、仕事に対するスキルをどう位置づけていくかを考えたかったからだった。

 

先日、Twitter上である方にお勧めいただいた1冊。

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転職したい人にはもちろんオススメだけれど、自分が今後どういうスキルを身につけていくべきか悩んでいる人にもオススメの本だ。

 

筆者である黒田昌行氏は元リクルートで、転職雑誌や転職支援サイトの編集長を勤めた経歴の持ち主。現在は「ミドル世代の適正なマッチング」をテーマに中途採用市場に関係する企業を経営している。

 

本の内容をざっくり要約すると、

  1. 現在の職場への不満を原動力として行う転職はたいていの場合うまくいかない(転職をしても、転職先で新たな不満が勃発したり、条件が思ったよりも良くなかったりして、結局不幸せな転職になってしまう)
  2. 今の職場でやれることをやりきった人がする転職は、円満な場合が多い
  3. 「ポータブルスキル」を見極める。そのために、定期的に自分の携わっている仕事やそれによって身についた能力の棚卸を行うと良い
  4. 雇われる側ではなく、雇う側に立って自分の能力を整理し、PRする

ということが書かれていた。

 

特に注目すべきなのが「ポータブルスキル」という概念。

転職を考える際、よくやりがちなのが「現在の仕事で身についた能力は同業界・同職種で生かせるものだから、転職先も同業界・同職種で探す」というもの。しかし、自分の仕事を定期的に見直して、自分のスキルの中でどの業界でも応用できるスキル=ポータブルスキルは何かを点検しておくと、自分の可能性を広げることができると黒田氏は述べている。

 

本の中では下記のような例が出ていた。

生命保険会社で営業担当部門長として生保レディをまとめていた経験があるAさん。現在は食品メーカの品質管理部門長の仕事で過去の経験を生かし活躍している。なぜなら、品質管理部門の仕事が、現場で働く多くのパート、アルバイトを束ねてルーティン業務である品質管理や衛生管理の行動を徹底させることが肝であり、それは生命保険会社で生保レディをモチベートし、日々の業務をマネジメントする力と通じていたから。

なるほど、一見特殊なように思える仕事でも、その仕事に必要な力の肝は何なのかを抑えることで、他業種でも生かせることがあるのである。

 

私たちはとかく日々のルーティンに追われがちだが、「今の自分の仕事は何で、どんな力が必要なのか」を定期的に見直していくことは、職種や仕事のあり方、働き方が少しずつ変わっていくであろうこれからの日本社会において大事なことなのだと思う。

 

私も一度、自分自身の仕事内容と持っているスキルを点検してみたいと思った。

 

 

 

 

 

 

大学職員に必要なのは「調整力」?

「大学職員になるために、大学職員としてやっていくために必要なスキルって何ですか。」

 

同業者の方々はどんな風に答えるだろう。

大学職員になりたい方はどんなスキルが必要だと思うだろう。

 

大学職員として必要な力、大学職員として働く中で磨かれる力は「調整力」だと思う。あくまで私個人の考えだが。

 

なぜか。

 

大学職員の仕事は一般企業以上に「多様な人」が関わるからだ。

部署にもよるけれど、大学職員の仕事はこんな感じなのだ。

 

・学生に書類の提出を求める → 全然書類が出てこない

・保護者からの問い合わせに答えたり、お願いをする

・教員に期日までに書類の提出をお願いする(期日を過ぎても提出のない教員も多い)

・企業さんに広告の制作をお願いする

・他部署に調査の協力を依頼する

・地域の方からの問い合わせやクレームに対応したり、地域の方と一緒に何かを成し遂げる

 

同質でない、本当にいろんな人を相手にすることになる。

 

特に教員と他部署と仕事をする際、「調整力」がモノを言う。

いかにこちらのやりたいことと相手の意向とをすり合わせ、教員や他部署に納得して気持ち良く仕事をしてもらうか、これは各個人の腕の見せ所だ。

(私はまだまだレベル2くらい。もっと腕を磨きたい)

 

こんなことを言うと炎上しそうだが、大学職員としての仕事の中で相手にするのは、半分くらいが「一般常識からずれている人」である。

例えば、教員。研究者として凄い人であることと、一般的な事務仕事ができることとは別な話。科研費をたくさん取ってきて大学に貢献している先生でも、とても偏屈で一緒に仕事がしづらい、なんて人は結構いる。

大学職員になりたい方の憧れの仕事であることが多い、学生対応だってそう。対応がきちんとしていて、大学職員と仲良くなる学生もいるけれど、窓口で対応する学生のおよそ半分(もしくはそれ以上?)は敬語が使えなかったり、期日を守らなかったり、連絡がつかなかったり。「社会に出てから苦労するよ、それじゃ。」というような学生なのだ。

 

一般常識からずれている人たちをまとめ上げ、なんとか思う方向に持っていく。

これは意外と大変だ。(もちろん、これを本当に何なくうまくやり遂げる人もいる。そんな人の技術をよく観察して、いいところを盗みたい。)狭い世界だからこそ、この調整に苦労して、精神的に追い詰められる人も中にはいる。

 

大学職員を目指す方は、この一般常識からずれている人を毎日相手にしたり、力のいる調整を毎日してもなお”やりがい”を見出せるかについて、今一度考えていただけたらと思う。やりがいを見出せる方は、きっと大学職員になっても楽しく働けるはず。待遇ばかり見て大学職員を目指すなら、多分ここで辛い思いをすると思う。

 

ネガティブなことばかり書いてしまったが、大学職員の仕事の中で身につけた「調整力」は悪いことばかりではない。実は日本社会の中で結構役に立つ場面もあるのではないか、とも思うのだ。例えば、地方創生の現場や地方自治体、地域の自治会、PTAや医療関係(大学に近いか)など。調整力にビジネスセンスがかけ合わされば、営業職などでも結果を出せる人も多いかもしれない。

 

そんなことを思った、土曜日の午後でした。

 

【読書記録】「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」西原理恵子

いつか子供がほしいと思っている。

自分の子供ができた時、どんな親になりたいか。どんな親になれるだろうか。

 

大学に勤め、教育業界の様々な情報に触れる中で思うことがある。

子供にはたくさんの大人と関わる機会を持ってほしい。

多少失敗してもやりたいことは色々と手をつけてみてほしい。

親として、多くは語らずとも、子供がやりたいことをサポートできるようになりたい。

 

今回読んだ西原理恵子さんの本「女の子が生きていくときに、覚えておいてほしいこと」は、そんな目指す親の1つの姿を学ぶことができる本だった。

 

 

女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと

女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと

 

 

 

学ぶと言ってもエッセーなので気軽に読める。

 

父親の暴力と早逝によって苦労を重ねてきた西原さんは現在漫画家として活躍している。本書は西原さんなりの子育てへの考え方(特に娘への想い)がまとめられた本だ。

 

西原さんの子育てについてザックリまとめると、

①子供が好きなことを見つけたら、それを好きなようにやらせること。

②ただし、必ず「食える術」を何かしら考えて身につけること。

③そのための費用はかあさん(西原さん)が全部出してやる。

というもの。

 

子供の習い事や教育に関して親が干渉することが多い現代で、なかなかに割り切った子育て方法であるように思う。

 

西原さんの独特な子育て観には自身の育った家庭背景があり、そのエピソードが読んでいて非常に心が痛くなる。また、子育て観だけでなく、子供への想いや亡くなった元旦那(離婚している)との一筋縄ではいかなかった夫婦生活についても綴られており、これがかなり心に沁みる内容だ。思わずホロリと泣いてしまいそうになるので、カフェなどで読む際は要注意。

 

 

最近、読書が捗る。

仕事の仕方を少し変えてみたおかげかもしれない。

その辺の話については、またいずれ。

 

 

星野マリエ

 

 

 

女性のキャリアについて思うこと②

女性のキャリアって難しいと思う。

まだまだ日本社会においては、一筋縄ではいかない。

 

仕事を取るの?

家庭を取るの?

 

本当はそんな単純な二項対立な議論ではないはずなのに、それを求められる機会が多くの女性に未だに起こりやすい。

 

私自身に置き換えてみる。

まだ現実に起こっていないけれど、私自身、近い将来キャリアを中断するリスクを抱えている。パートナーの海外転勤というリスクだ。

 

単身赴任させればいいじゃん。

そんな声も聞こえてきそうだが、家族のあり方は個々人の価値観に基づく。

不安定な世界情勢の中で、パートナーを1人だけ海の外に出したくない。

いつ死ぬかわからない、いつ会えなくなるかわからないから。

私は仕事もしたいけれど、家族と楽しく暮らす毎日を何より大切にしたい(喧嘩もたくさんするが)。その価値観は第三者が横槍を入れていいものではないはずだ。

 

話を戻す。

家族を大切にするという選択をすると、キャリアを中断するというリスクを背負う。

私は大学職員である。キャリアを中断するとどういうことが懸念されるのか。

 

以前、大学職員を志した理由をブログに書いた(Twitterでなんだか思わぬ方向に物議を醸した)。

photon28.hatenadiary.jp

その際、末尾にこんなことを書いていた。

ただ、今後のキャリア形成については迷いがあるのも事実です。

(中略)

大学職員の仕事を通して身につく知識やスキルは、大学業界でのみ通用するような知識、スキルであることが多いです。上記のように辞めざるをえない状況になった場合、大学職員の経験値だけで、その後のキャリア形成に結びつけていけるのかについては不安に感じることもあります。

 

Twitterで物議を醸した時は、下線部しか注目されなくて悲しかった)

名もなき大学職員である私が今、キャリアを中断すると、経験を社会で自分の望む形で買ってもらえるのかが不明瞭で、働き続けたいのにもかかわらずその後のキャリア形成が繋がらない可能性を孕む。

 

では、リスクを回避するためにどうすべきなのか。

私が出した結論は、

①これからの社会に必要となる知識を身につける。

②自分のやってきた仕事とこれからやっていきたい仕事に関わる資格を取る。

この2点に収束する。

 

今、自分が非常に関心を持っている「働き方」に関してもっと突っ込んで携わってみたいし、考えてみたいのでCDAという資格を取ろうと思っている。また、自分が携わってきた広報という仕事に関して、企業人と同程度の知識やスキルを持っていることを証明するため、PRプランナー検定も受ける。さらに、今後絶対に持っていて損はない知識として、Webマーケティング関連の知識も何がしかの手段を使って得ようと思っている。(できれば本当は文章力も何がしかの機会に磨きたい)

 

もちろん、資格は全てを解決するものではない。

資格があったって自分の身に起こるリスクは回避できないかもしれないし、キャリアに結びつかないかもしれない。

 

でも、勉強したことは無駄にはならないはず。

インプットの多さは自分の中の判断力やセンスにつながってくるし、どこかで役立つこともあるだろう。

 

 

長くなってしまったが、大手企業勤務や起業経験などの何か華々しい経歴があるわけではない女性は、今後「キャリア」という面で生き延びていく方法として「資格取得」を考えてみてもいいのかもしれないと思う。まだ結果は出ていないけれど、私自身が身をもって実験するつもりである。

 

無謀なチャレンジはできないから、身の丈にあったチャレンジを。

勉強頑張らねば。

 

 

星野マリエ

 

 

 

 

 

女性のキャリアについて思うこと①

働きたい。社会と何かしら接点を持っていたいから。

 

でも、子供と一緒にいる時間も大事にしたい。

可愛い時期はいつだって今日が最後。時間は戻せないから。

 

家事だってきちんとこなしたい。

料理も掃除も洗濯も、暮らしがきちんとしていることが楽しいし、心の安定の源だから。

 

あれもこれも求めたら生きづらい世の中です。特に女性は。

何かを諦めたり、捨てたりすれば良いのだろうけれど。一度きりの人生。

やれることは最大限やりたい。やっていいと思うのです。

 

 

6月28日(水)に放送されたNHK朝イチ「40代主婦 稼ぎたいけれど…」を見ました。

 

www1.nhk.or.jp

 

女性のキャリア中断の問題はなかなか改善しないな。

問題の原因は企業側の意識にもあるし、女性の側にもあるように思います。

企業は多くの主婦の能力を低く見積もりすぎだし、女性は企業の求めている能力を知ろうとしなさすぎ、かつ情報収集下手すぎる。

 

一例として上がっていた元SEの主婦の方。SEの経歴を生かして9時〜14時までの仕事を探しているけれど見つからないんだそう。

 

おかしいな。企業の一般的な有効求人倍率が2.46のところ、IT・通信系企業の有効求人倍率は5.90あるはずなのに。年齢を考慮しても仕事が見つからないはずがないのに。

 

SEであればテレワークで一部仕事を行える会社もあるはず。ベンチャー企業でそのような求人を出しているところ、見かけたことがある。(趣味で転職サイトをよく眺めている)この元SEの主婦の方は、情報収集の仕方に問題があるのではないかと思ってしまったのでした。

 

企業と女性の労働力が上手く繋がらない。両者ともにアンハッピー。

この状況、どうにかならないかなあと思っている今日この頃。

 

ーーー続く。

 

 

 

 

 

 

 

【読書記録】「多動力」堀江貴文

多動力 (NewsPicks Book)

多動力 (NewsPicks Book)


読みました。
今話題の本。


ざっくりまとめると、

AIなどが発展するこれからの時代、1つの経歴や能力、キャリアで何十年も食べていくのは難しくなるから、興味のあることはなんでもやってみて、自分の経歴の幅を広げよう、

という話。


もう少し詳しく説明すると、興味のあることにどんどん取り組んでいけば、100万分の1の人材になれると堀江氏は言っている。

単なる社長なら何千人と日本にいるけれど、
社長×イベント企画者×コンサルタント×…とスキルなり経歴を掛け算していくと、(理論上は)何百万分の1の人材になれるというのだ。

今、私は働き方やキャリア形成にとても興味を持っている。今後、どんな風に働きたいか、生きていきたいか。何をして食べていくのか。堀江氏の考え方は非常に勉強になった。(勉強になるだけじゃなくて、実践もしていかねばと思う。)

本の中では、堀江貴文氏が実践している仕事の仕方なども紹介されている。一部、私個人として納得できないところもあるにはあるが、全体的にスピード感を持った仕事の仕方ややりたいことの実現方法、今後のキャリア形成についての考え方を学ぶには良い本だと思う。

2020年以降の私立大学進学について思うこと

2020年に開催される東京オリンピック

今、日本経済はオリンピックに向けた観光客誘致や街の整備、会場整備により上向いているようです。

2020年まではこの景気、おそらく続くでしょう。景気がいいということは、就職市場も新卒売り手市場になりやすい。新卒売り手市場になると、就職に対する不安から資格至上主義で受験生が動くことはなく、自然と文系学部(特に経済系)の人気が高まってきます。また、学費を懸念した国立大人気も収まり、私立大学への進学も増えているようです。


何が言いたいか。
2020年までは大都市圏、特に首都圏の多くの私立大学は志願者募集に大きく困ることはないのではないかと思うのです。(多少困ることはあるかもしれません)

問題はその先。
2020年以降の日本社会がどうなるか。

オリンピックが終わった後、好景気が落ち着く都市も多い中で、東京はどうなるか。日本はどうなるか。

好景気が落ち着くのであれば、私立大学の志願者募集はまたリーマンショックの頃のように厳しくなる時期が来るかもしれません。

2年先を見越して、先手を打っておきたい。ともすると詐欺になってしまう大学広報で、誠実に、でも知名度を上げるべく知恵を絞って、大学の特色をPRしていくにはどうしたらいいか。

答えは出ません。正解は各大学でそれぞれのはず。今日できることから少しずつ取り組んでいけたらと、日々の仕事に意味を見出したい今日この頃。